75話は、あいつが居たけど、割とまともだった。
なんでかな?久しぶりに奥村のお兄ちゃんが出てきたからかな?
言われたとおりのパートで歌う二人。
めぐみ、嬉しそう。そりゃ、そうやわな。でも、のぞみは・・・・。
メインでメロディーを歌うのは自分だと思っていたから悔しい、自分はめぐみのように楽譜も読めないからすごく勉強もしたしいろいろなうたい方の稽古も努力したのに、と弱音を吐くのぞみ。
「努力した」ところも見せずに台詞だけで言っても、説得力がないし、共感できない。
「・・・のぞみ・・・。のぞみは、働きながらあたしよりすっごくがんばってた。・・・だけん、あたしは、のぞみが・・・。」
「ええのんや!・・・・・・慰めんといて!」
「・・・・・・あたし、のぞみと一緒に歌えるようになるのは、すごく楽しいんだろうなって思ってたんだけど・・・・・・プロって、なんか詰まらんが!なんでも決められて・・・。もっと自由に歌いたい!・・・だって、松江城で二人で歌ったときも、ワイルドダックで歌ったときも、あげに楽しくて自由で、心がわくわくしてたのに・・・こげな気持ちになるなんて・・・。」
「あかん!」突然さえぎるのぞみ。「・・・え?」
「めぐみ、うちが悪かった!うちが情けないこというてしもたから・・・!」
「情けなくなんかないがね!」
「ううん!ごめん!もう忘れて!・・・めぐみと一緒に歌手になりたいって言うたんは、うちや!・・・もう弱音は、はかへんから!」
「・・・うん!あたしもがんばるけん!のぞみのようにもっともっとがんばるけん!」
うなずきあう双子。
協力し合うのも、プロの世界が厳しいのも、当たり前のことだから、全然共感できない。
やっぱり、松江にいるときは、わざと京都弁を使わないようにしてたんだ。
ワイルドダックでバイトしているのぞみ。
康太とぶつかるが、客だと思い、謝るが、康太とわかると肩に手をやり、背伸びをして耳元で「いよいよ屋根!」とささやく。
あんな狭い店じゃ、ぶつかって当然だ。
ていうか、客に、「堪忍!」って・・・。「ごめんなさい!」だろ?
関西じゃ「堪忍」だけでしつれいじゃないのか?
康太にも謝れ!
「近すぎるが!」
「何言うたはるの!レコーディングは、秘密やから!」
「マスターには、言うてあるから!」「あほう!」
「けど、マスターは、俺たちのこと、すごく応援してくれとる。なのにマスターは、俺のタンバリンの指導もしてくれたんだが!だけん・・・!」
「男のおしゃべりは、みっともないえ!」
離れてカウンターに盆を置き、テーブルを拭くのぞみ。
あわてて近寄り、「・・・だけん!」と何か言いかけるが、それを飲み込み、
「のぞみちゃん、誕生日に俊と一緒にマンションに行くけん!」
「ああ、おおきに!めぐみにも言うときます。ほな、うち、先に上がります!」
そそくさと帰っていくのぞみ。
マスターに挨拶していけ!ていうか、仕事着のママ変えるのか?
「・・・お疲れ!」あっけに採られる康太。
めぐみが部屋で勉強しているとき、のぞみが帰ってきて、帰りに会った、と隆康を伴ってくる。
「一条のおじいちゃん!」めぐみも喜ぶ。
大阪に用事があって、と隆康。
隆康を上がらせる二人。
風呂敷にたくさんの京菓子。
「いやー!懐かしい!よう花むらに持ってきてくれはったなあ!」
と喜ぶのぞみ。
「懐かしいか!そうか!・・・のぞみがすきやったんや、子供の頃。」
隆康も嬉しそう。ひとつとり、
「・・・おお!特にこれ!この豆板や!濃い砂糖の味が好きやった。口の中一杯にして食べとった!」
笑う3人。
それをのぞみに渡す隆康。喜ぶのぞみ。
めぐみにもひとつとり、渡す隆康。喜ぶめぐみ。
「二人とももうすぐ二十歳か・・・。早いもんやな・・・。」
しみじみという隆康。
顔を見合わせて微笑み会う双子。
おじいちゃんにはやっぱり、孫は、目の中に入れても痛くなくて、でもって、頭の中では、子供の頃のままなんだな。
母方の祖父母もそうだ。うちの祖母も、父の兄弟の子供たちに対してそうだ。
サリーミュージック。
「レコーディングしたCD、どこに売り込むか、決めたか?」
「はい。まず、京阪ラジオに頼みます。ディレクターの相場さんは、きっと乗ってくれると思います。」
「京阪の相場ちゃんか!ちゅうことは、FMやのうて、AMか?」
「ザ・ピーナッツを生で聴いた世代から捕まえようとすれば、やはり、AMでいきたいと思います。」
「ライブまで4ヶ月や。そんなに悠長にやってて大丈夫なのか?」
「いけると思います!」胸を歯って言う石橋。
何時だか知らないけど、主婦は、ラジオなんか聞かないんじゃ?
「ザ・ピーナッツを生で聴いた世代」って、主婦だろう?
双子の部屋を出る隆康。見送る双子。
「めぐみ、のぞみ・・・いやー、きちんと暮らしとるみたいやさかい、安心したわ。」
笑う3人。
「来てもらって、だんだん!」
「めぐみ、おじいちゃんをそこまで送ってくるわ!」「うん!」
「そうか?嬉しいな!」
再び笑う3人。
「ほな、めぐみ、またくるさかい。」
笑顔でうなずき、「おやすみなさい。」と挨拶するめぐみ。
うなずき、立ち去る隆康と付き合うのぞみ。
隆康を送り、帰り途中、のぞみは、奥村と花鶴がデートしているのに遭遇してしまう。
二人とも私服だ。芸舞妓と男衆の恋愛は、禁断だ。
下をむいて、顔をあわせずにすれ違おうとするが、彼らはのぞみに気づいてしまった。
腕を組んでいた二人は、あわてて離れる。
「・・・いっや〜!夢花ちゃん!」大げさに驚き、奇声を上げる花鶴。
「・・・すんません!」走り去るのぞみ。
困惑した表情で顔を見合わせて見送る二人。
奥村のお兄ちゃんが、「ほんまにうまいオムライスやったわ〜!」といっていた。
ちりとてちんのパクリ?(笑)
奥村さん、やばいよ!あの二人は、絶対、花鶴がリードしてるな。
祇園ではなくても、洋服でも、芸舞妓や男衆仲間に見つかったら、えらいことになるのに、それも覚悟の上か?
ワイルドダック。花鶴と話しているのぞみ。
「・・・黙っててな・・・?」「それは、もちろんです!」
ため息をつく花鶴。
「・・・うち、もう誰も好きになんか、ならへんって思ってたんやけどな・・・。夢花ちゃんがいんようになって、花雪さん姉さんが、すっっっかり落ち込まはって・・・。あんたが松江にいた頃や。花むらの中は、ぴりぴりしててな・・・。」
「・・・すんません!」
「ううん!(笑)・・・そんなときや。奥村のお兄ちゃんが、うちによういうてはったんや。“こんなときこそ、花鶴さんの出番どすえ!その明るさが、みんなを救うんどすえ!”。・・・そないして毎日奥村のお兄ちゃんに着付けしてもろうてたら・・・おにいちゃんの顔見んと、笑顔になれへんようになってしもうて・・・。」
「・・・すんません・・・。みんなうちのせいですね・・・。」
笑顔で首を振り、続ける花鶴。
「うちは、今でもあんたのこと、天晴れ屋と思てんのえ!〜(聞き取れませんでした)!襟変えの10日前に祇園を飛び出すやなんて!普通の舞妓には、絶対、できひん!」
「・・・・・・ほめてはるんですか?」「・・・・。」
笑う二人。「もう!」
のぞみは、ふと真顔になり、
「・・・・・・おかあちゃん、どないです?」
「もう大丈夫や!夢花ちゃんが大阪へ行ってから吹っ切れたみたいで、元気にやってはります!安心し!」
「よかった!」笑顔になるのぞみ。
今度は、花鶴が真顔になり、
「・・・夢花ちゃん、あんたには、言うとくわな?」
「・・・はい?」
「ごひいきの銀行の頭取さんから聞いて、奥村のお兄ちゃんに調べてもろたんやけど・・・一条のだんなさんのお店が、どうやら危ないらしいって・・・あんた、聞いてる?」
「・・・へ?」驚くのぞみ。
めぐみ・のぞみの誕生日、二人のマンションですき焼きを食べている双子と康太、俊、石橋。
「…それにしても、なしてこの暑い時期にすき焼きかね?」(めぐみ)
「こう言うときは、すき焼きだろう、やっぱり!」(石橋)
「気ぃついたら石橋さん、買い物籠の中にもうすっかり材料入れとられたけん、とめられんかったんだが!」(康太)
「だから、大事な日の前は、すき焼きだろ?」(石橋)
「聞いたこと、ないが!」(俊)笑う4人。むくれる石橋。
「・・・ところで、今日は、何の日だったっけ?」話を変える石橋。
箸をおく2人。
「そげそげ!誕生日、おめでとう!」箸をおいて2人に言う康太。
「おめでとう!」箸をおいて続ける2人。
「だんだん!」「おおきに!」はもる2人。
「のぞみちゃん?」「はい?」
「『恋のバカンス』っていう曲は、音をとるのが難しくて、メロディーや声のバランスをあわせて歌わなきゃいけないから、技術が必要なんだ。」
「・・・・。」
「それに、君の声は、高音がきれいだ!美しい高音ではもってこそ、生きる曲でもある!」
「・・・・。」
「僕がね、二人の個性がそれぞれ生きるようにもって行くから!」
「・・・はい!」
そのとき、のぞみの携帯電話がなる。
ディスプレイには、「花鶴さん姉さん」とある。
離れて出るのぞみ。「もしもし?」「もしもし?」真喜子の声だ。
「…おかあちゃん?」
「花鶴さんに携帯かりたんや。お誕生日、おめでとう!」
出て行くとき、「赤の他人や!」と言ったのは、うそだったんですか?
それに、めぐみにも電話しろや!二人同時には電話できないけど。
「おおきに!」「二十歳になったんやな!」「へえ!」
「どないしてる?」
「ちゃんとがんばってます!・・・あ!お母ちゃん?」「何え?」
「今度、会うてほしい!」「・・・どないしたんや?」
「おじいちゃんのことで、ちょっと話したいことがあるんです。」
「・・・・わかった!」「おおきに!」「ほな、また電話するえ?」
「へえ!」
お互い、電話を切り、感慨にふけった表情になる2人。
席に戻るのぞみ。顔を見合わせて、小さくうなずきあう双子。
そんな二人を見て、しみじみといい、天を仰ぐ石橋。
「やっとスタートラインだ!長かったなあ!」
「石橋さん、酔ったんだないかね?」(めぐみ)笑う4人。
「(笑)・・・あ!君たちも一杯飲むか?」(石橋)
「!あ!」(めぐみ)「!あ!」(俊)
「あたしたちもお酒がのめるんだ!」(めぐみ)「ほんまや!」
「感動だがー!」(康太)「先輩!」(俊)「よし!乾杯するぞ!」
「うん!」「はい!」康太がのぞみ、俊がめぐみにビールを注ぐ。
礼を言う二人。
「二十歳になったんだなあ!」しみじみ言う石橋(でも、誰も聞いていない)。
康太と俊がそれぞれにビールを注いでいるとき、石橋が突然「ちょっとストップ!」ととめる。
「・・・え?」(双子)手を止める康太・俊。
「やっぱりお酒はのどによくないから、君たちは、ジュースにしよう!」
笑う一同。ジュースを改めて二人に注ぐ康太。
「よし!じゃ、明日のレコーディングの成功と、君たちの二十歳の誕生日に、乾杯!」
石橋の合図で乾杯する一同。
石橋は、4人を感慨深そうに見渡す。
(めぐみとのぞみ、二十歳の誕生日です。)
そんなのわかってるわ!わざわざそんなナレ、いらないだろ!
せっかくいい終わりだったのに!
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芸能界は華やかだけれど、誰でも大変な裏があるみたいですね。
それは、仕方がないことですよね。
ていうか、のぞみもめぐみも、そんな覚悟もなく、歌手になるって言い出したのか、って感じですよね。